壁の落書き
子供が臆することなく、鉛筆で壁にガンガン描いていく。
「紙に書こうね」と妻に幾度となく促されたとて、3歩あるけば壁に向かう。
紙に書こうと促す以外に、僕にできることはあるだろうか。
家なら良いが、外出先で壁に描いてしまっては大変だ。
でもまだ小さいのでどうやったら良くないということを理解してもらえるだろうか。
そもそも壁に書かれないように仕組みで解決する方法もあるだろう。
そんな思考を巡らせていた。
仮に才能が開花してバンクシー的なポジションになったとき、この描かれたものの価値はどうなるのだろうか。
きっと会話ができるようになったら壁に落書きをするというのはなくなるだろう。
実際に僕も記憶にない。
きっとこの悩みも一瞬で、あまり深く考えなくて良いのかもしれない。
すると、突然。それは突然に壁に描きたくなる衝動を抑えられなくなってしまった。
そして、妻にはガチギレされる、かつ盛大に滑っていることも覚悟の上で鉛筆を握った。
そして複雑な感情が入り乱れながらささっと書き足しておいた。
いつ気づかれるのか怯えながらGWを過ごす覚悟だ。